SF用語
亜空間
「通常の物理法則が通用しない空間」「通常の空間と隔絶された場所」の意味として、ファンタジーやsfなどで使われる創作用語。
時間や距離も無視できるため「過去や未来や別世界の存在が亜空間を通って訪問してくる」「離れた場所をつないでワープできるようする」「現実空間とは別に独立したファンタジー世界を作る」などのなんでもありな設定を作るのに向いている。
アンドロイド
人の姿を模したロボット。人の形をしたロボットがアンドロイド、人の形をしていないロボットがロボットという違い。
通常のロボットは「作業の代替をさせる」ことが主な目的で、アンドロイドは「人の姿を模すことによって人間とのコミュニケーションを行う」など、人の姿を模すことによって得れる役割を与えることが主な目的。
人間と同じような動きがでこる技術を持つ世界観の作品では、介護や家事など、人間社会で人とともに、あるいは人の代わりとなって活動している様子も描かれたりする。
ウラシマ効果
特殊相対性理論では「高速で移動するほど、止まっているものより時間の進みが遅くなる」という理論がある。
速度における時間の変化は、速度が光速に近づくほど大きくなるため、亜光速(光速に限りなく近い速度)のロケットで1日移動して地球に帰ってくると、地球上では何十年も立っていたということが起きえる。
この現象をSF作品において、主に日本では浦島太郎になぞらえて「ウラシマ効果」と呼ばれる。
エイリアン
宇宙人、地球外生命体を意味する。
グレイ(大きな頭部を持つアンバランスな体型の人間型エイリアン)やレプティリアン(鱗に覆われた肌や鋭い爪や尻尾などの爬虫類の特徴を備えたエイリアン)などの種類がある。
ESP
超能力の中でもテレパシーや透視といった、通常の手段以外で外界情報を得る能力を指す。
例としては、「サイコメトリー(写真や物に触れることで、それに関する事件や人物について知覚する能力)」「透視(遮蔽物があるのにもかかわらず、遮蔽物が無い状態で見れる、カードなどが裏に伏せてあるのに表を見ることのできる能力)」など。
オーパーツ
Out-of-lace-artifacts場違いな工芸品。主に考古学などの出土品で想定された時代の科学や技術では製造が不可能か困難な品を指す言葉。
「クリスタルスカル(アステカの遺跡から発見)」「黄金スペースシャトル(コロンビアの古代遺跡から発掘)」など、多種類のオーパーツがある
作られたとされる時代にとってはオーバーテクノロジーにあたるため「宇宙人や未来人が持ち込んだ」などのオカルト的な要素として楽しまれることも多い。
現実には、オーパーツのほとんどは勘違いだったり、当時の技術でも作成可能だったという結果が多いが、未だ解明されていないオーパーツの解明は現代でも続けられている。
ESP
超能力の中でもテレパシーや透視といった、通常の手段以外で外界情報を得る能力を指す。
例としては、「サイコメトリー(写真や物に触れることで、それに関する事件や人物について知覚する能力)」「透視(遮蔽物があるのにもかかわらず、遮蔽物が無い状態で見れる、カードなどが裏に伏せてあるのに表を見ることのできる能力)」など。
軌道エレベーター
惑星の地表と衛星軌道上を1本の巨大な柱状構造物で結ぶ巨大な静止衛星。ざっくり表すと、地上から宇宙にある衛星へ向かうためのエレベーターで、物資や人の輸送を目的とする。
主に抑えておくとよさそうな特徴としては
・軌道エレベーターが地上の定位置に留まり続けるためには、赤道周辺上空の軌道上にて自転と同じ速度で惑星の周囲を回り続ける必要がある。
・「高い位置での位置エネルギーによる電力回生エネルギー(勢いよく動いてる状態からブレーキを掛けた際に失われる運動エネルギーでモーターを回して発電する)での発電」「エレベーターの表面積を利用して太陽光発電」などの電力コストには困りにくいという点がある。
・上から宇宙にかけての巨大な柱状構造物であるため「テロへの対策」「メンテナンスの手間」「スペースデブリへの対策」などの様々な大きな問題を抱える。
このメリットをどう活かすか、デメリットをどう扱うかというのも、作品の世界観作りに大きく影響する。
空中都市
天空に浮かぶ街。
技術的にも経済的に実現性が非常に難しいため、どう浮かせるか、なんのために存在しているかのアイディアが必要。
浮かせる方法としては
「軌道エレベーターなどにより衛星軌道上から都市構造物を吊り上げる」「柱状に構造材で支える(非常に高い負荷がかかるため、負荷に耐えうる高い強度の素材が必要)」「反重力機関を用いて力づくで浮かせる」等がある。
コールドスリープ
惑星間移動の際に人体を極低温状態にして肉体の状態を保存する目的の装置。
惑星間移動における老化や物資の消費を抑えることを目的に考案された技術。
大勢を乗せた宇宙船による惑星間移動は年単位の長期間の宇宙船での移動も多いため「宇宙船の食料の消費問題」「酸素の備蓄の問題」などの解決策として使われる。
作品によっては、スリープ中に事故が起こって一時的な記憶喪失になることから物語が展開されることもある。
サイコキネシス
超能力。既知の物理的なエネルギーを介さずに、外界のものに影響を与える超能力はサイコキネシスと言われる。
例としては「テレポーテーション(他の空間に移動する能力)」「念写(念の力で、思い浮かべていることや透視で見えていることを写真に映し出す能力)」などがある。
サイボーグ
生き物の体の一部を機械化させた存在。元々全身機械の場合は、生き物の姿をしていてもサイボーグではない。
創作においては、人間をサイボーグ化することにより
・一部の身体能力が飛躍的に上昇(すごく早く走れるようになるとか)
・身体機関の一部を人工物に改造して海底や宇宙環境などで活動できるようにする
等が挙げられる。
人一人でスーパーマンのような幅広い活躍をさせることも可能となる。
人工生命
生命体の持つ複雑な機能や活動をコンピュータ上にシステムとして再現する技術。
解析することで生命現象の本質を解明し、その原理を技術的に利用できるようになることなどを目的とする。
例としては
・火災現場での人間の行動を再現して、その心理や行動パターンを調べて被害が少なくなる方法を考察
・魚の群れなどの生物の群れが持つ高度な振る舞いを解明する(これを群知能という)ことで、複数のロボットを上手く制御できるための技術に応用する
などが挙げられる。
生物の行動だけでなく「新たな生命体の細胞を作り出し、それがどのような活動が起きるかを観察」などもある。
現実で実際に研究する場合に膨大な時間が必要だったり、経済的な問題で難しい研究もシュミレーションできるため、研究の幅を大きく広げられることができる。
スペースコロニー
人類が宇宙空間で暮らすことを目的に宇宙に建造する巨大な施設。
宇宙空間で落下しないためにラグランジュポイント(天体同士の重力と遠心力が安定する場所)に設置する。
宇宙に新天地を求めることが出来るが「テロに弱い(逃げ場もないため)」「膨大なコスト(建てるのに国家予算数年分)「メンテナンス(地球と同じ大気や温度、重力などの環境を整える技術や費用)」などの大きな問題もある。
ダイソンスフィア
恒星を巨大な球体の殻で覆って恒星の発するエネルギー(熱や光)を活用するという理論。スフィア(球状)と言っても恒星の全体を囲むわけではなく、恒星の周囲を覆うように設置する。
宇宙空間の恒星が発生させるエネルギーは、惑星が受け止めたほんの一部しか使用されないない。
「受け止めきれていない恒星のエネルギーを受け止めるために、複数の人工物を輪のようにつなげて恒星を覆うようにしてエネルギーを受け止めれば、エネルギーを最大限に活用できる」という考えから提唱された。
タイムトラベル
機械もしくは能力などによって過去や未来の時間に旅をすることを指す。
時間移動するための機械は「乗り物(タイムマシンなど)」や「ゲート式」「アクセサリーの見た目」など作品によって様々な形状がある。
時間移動は“現在と同じ場所に移動する”ので、過去では海の場所に移動すると海の中に移動してしまったり、同じ座標に物体が存在していると移動者と物体が分子レベルで融合してしまうなどの問題が起こる。そのため、未来や過去と現在の場所の状態の違いを確認する方法や、選んだ空間に移動する能力をセットにするなどの工夫も必要になる。
タイムスリップ
何らかの強力な力が働くことで、タイムマシンがなくても時間移動を行われること。
例としては「超能力などの超常的な力で過去に移動」「核攻撃の衝撃で町ごと未来へ行ってしまう」「事故で頭を打った衝撃で過去に行ってしまう」など。
タイムトラベルとの違いは、タイムマシンのように移動者が過去や未来へ“意図的に”移動するためではなく、移動者が“意図しないなにかが起こる”ことによって未来や過去に行ってしまう場合にタイムスリップという表現が使われる。
タイムパラドックス
時間移動によって生じる矛盾を指す。
未来で存在したはずのものが存在しているようになってしまうと、歴史に大きな矛盾が発生する。
例えば、過去に戻って過去にはない道具を置いてきてしまうと文明が変わってしまったり、地形を少しでも変えてしまうと未来で存在していなかったはずの地形が存在してしまう。
誰かを殺めた場合は、未来で存在していたはずの出来事が存在しなくなるため、大きい矛盾が発生する(過去に戻って自分の親を殺めてしまうと、そもそも自分が存在していること自体が矛盾してしまう「親殺しのパラドックス」など)。
この親殺しのパラドックスのように、“過去に存在していないと現在も存在しないはずなのに、なぜ現在も存在しているのか”という設定を解決するために、殺めた時点でパラレルワールドになってしまうなどの強引な解決法などがある。
タイムリープ
時間跳躍。“自分の意識のみ”が過去や未来の自分の身体に乗り移るという展開を表す造語。
SF作品において、タイムスリップなどの時間移動をすることによって、同じ時空に自分が2人存在してしまう矛盾を解消できたりする。
和製英語で、筒井康隆氏のSF作品「時をかける少女」から広まった表現とされている。
超能力
既知の常識を超えた超人的な能力を表す。
“人間の脳は10%しか使われていないという都市伝説”があり「もしその脳を使えたら超人的な力を発揮できるかもしれない」という想像から、超能力の存在が挙がる。
超常現象を科学的に調査し研究するための学問で「超心理学」という学問が実在し、超能力の事象の実在を証明されては否定されの繰り返しが延々と続いているが、科学的に研究するという、オカルトとはまた違ったアプローチで研究が行われている。
超心理学的に超能力は「ESP」と「サイコキネシス(またはテレキネシス)」の2種類に分類される。
超古代文明
四大河文明などより古い時代に現在よりも優れた文明が存在したが、何らかの理由で滅んだという説。
オカルトではあるが、ロマンがあったり、想像力がくすぐられる設定が多いため、創作において壮大なシナリオの設定としても使われる。
「アトランティス大陸(大西洋に存在してたという失われた大陸。巨大な軍事国家が支配してギリシアに攻めてきたが、神罰で海に沈んだという)」や「ムー大陸(太平洋に存在していたとされ、日本を含め環太平洋諸国の文明の源になったとされる)」など。
創作における文明崩壊した理由付けとしては、天変地異や異星への移民などの理由が考えられる。
テラフォーミング
地球以外の天体の環境を人類が生活できるように改変すること。人類が地球以外でも住めるような環境を作って移住することを目的に行う。
人類が生活するための条件は、対象天体が適度な大気で覆われ、適度な温度が維持され、水が液体で存在することが必要とされるため、テラフォーミングされる天体は、ハビタブルゾーン内の地球型天体が対象になる。
テラフォーミングに最適な天体を求めるには時間がかかりすぎることから、対象天体をドーム状に覆ってその中で理想的な生息環境を構築する「パラテラフォーミング」という手法もある(パラは疑似という意味)。
ディストピア
反理想郷を指す。恐怖による完全な管理社会で、思想は社会的に統一されている社会状況。
例としては「体制に従いさえすれば生活の権利が与えられるが、少しでも反抗する者は洗脳、制裁される」「認められている表現(極端に制限されている状態)に少しでもずれたら発禁や焚書される」「貧富の差を隠して一般市民には目の届かないようにして逆らうものはスラムに入れる」など。
ディストピアを描く作品の共通点は「巨大な管理社会」「極端な思想の統制における人間の尊厳破壊」という点などが共通する。
バイオハザード
有害生物(ここでの有害生物とは、ウィルス、細菌などの微生物・病原体)によって引き起こされる災害。
フィクションにおいては「ある研究所で極秘裏に開発されていたウィルスが何らかの原因によって漏出することでパニックになる」「ウィルスにより生物が変容し、ゾンビや吸血鬼が出来て人間を襲う」などの例が挙げられる。
パラレルワールド
現在の世界とは別に、もう一つの別の世界が並列して存在している可能性を指す。
異世界のような全く異なる別の世界ではなく、今存在している世界と似ているが、歴史的に起こったことが異なることで状況が変化している世界。
個人単位では「あの時偶然であの人と出合わなかった場合、自分は今とは全く別の生活をしていただろう」とか、歴史単位で見ると「信長が光秀の謀反に気づいて生き延びていた場合、日本の歴史が今よりも大きく変わっていたかもしれない」などが考えられる。
パワードスーツ
身体能力の強化を目的に作られた装着型の装置。現実だと介護、工事現場の補助用や軍事用のものが研究されている。
SFでは、「特殊金属で出来た装甲で全身を覆う鎧のような見た目で動く」「背中や足にブースターを搭載して空を軽く飛んだり、凄まじい機動力をもつ」「厚い装甲で高い防御力を備える」「装甲に武器を仕込む」などの機能を持つパワードスーツを着たアクションが描かれる場合も。
ファーストコンタクト
SFにおいては「地球外生命体との初めての接触によって起こること」をテーマに描かれる作品。
初めて出会った地球外生命体との接触から、互いの文明との文化の違いや知性の違いなどで生じる誤解や好奇心などから発生する共存、あるいは争いなどが描かれる。
地球とは全く別の文化や技術を描くための様々なドラマが考えられるテーマ。
物質転送
物質を情報に変換して転送先で再構築することで、瞬間的に転送元のものを転送先へ送れるという理論。
例えば、人間を転送するならその人体が構成されている物質の構造を調べて、その情報から全く同じ人間を構成し、転送先に作り出して転送元の人間を破棄する。物体でも同じやり方が適応される。
倫理的に大きい問題があり、同一の物質構成が出来るということは、記憶も能力も同じな人間のコピーが作れるだけでなく、自分の若い頃のデータを保存して作り出すことも可能となってしまう。
ジョルジュ・ランジュラの小説「蠅」では、物質転送の際に蠅が入って情報が混ざって蠅男となってしまう悲劇も起きる。
遠方でも瞬時に道具を送れる便利な設定ではあるものの、生物を転送することの問題がつきまとうため、倫理観の解釈をからめた上で扱うことや、物質の解析を完璧に行える科学技術をもつ世界観など、使うための設定に工夫がいる。
マスドライバー
物資を詰め込んだコンテナなどを弾丸がわりにして射出するための巨大な大砲のようなもの。宇宙での大量輸送手段として考案される。
輸送コスト面ですぐれているが、無理な加速でロケットの積載物にかなりの負担がかかってしまう問題もある。
マスドライバーで飛ばされたものは一定の方向にしか飛び続けられないため、マスドライバーで射出されたものを受け取る場所、あるいはそのための宇宙装置の「マスキャッチャー」も発案されている。
ロストテクノロジー
失われた技術。使い方や大まかな原理はわかるが、現在では再現ができない技術が使われている物に使われる表現。
例としては、日本刀やストラディバリウスなど、現代の技術でも再現ができないものなどが挙げられるが、近年ではコンピュータの進化もあって解析が進み、現代でも再現できる物も増えているという事情もある。
物品への表現だけでなく、武術の世界では、「開祖にしか使えないとされる技」「後継者が現れず失伝した流派」などにも使われることもある。
ワープ航法
空間を歪めて距離を短縮することによって、瞬間移動を可能とする理論。
シナリオ作りにおいて、恒星間の移動にかかる時間の長さや準備(コールドスリープなど)に制約されることなく恒星間の移動を可能とするシナリオも描けるようになる。
ワープの方法は作品によって異なり「亜空間で包んで相対性理論を打ち破って超光速で移動することを可能にする」「ワームホールを利用してワープする」などのアイディアがある。